私たちの所属する高田漁業協同組合は、福岡県有明海のほぼ県南に位置した矢部川沖のノリ漁場を有し、ノリ養殖世帯45戸で年間乾海苔8千万枚、生産額にして8億3千万円程を揚げる有明海で中核的な組合であります。
現在まで、およそ百年に及ぶノリ養殖に携わり、今では三代から四代目が従事していますが、当漁協は先人たちの研究熱心さとその先見性で、日本で初めて昭和31年11月熊本県水産試験場の故太田扶桑男先生のご指導で「ノリ人工屋外床堀り式採苗」に成功した、「ノリ人工採苗」の発祥の地でもあります。
以来、組合員の努力により、今日まで研鑽し、ノリ作りの技術を継承して今日のノリ産業の礎を築いてまいりました。かつての女竹ひび時代から、現在のような高度に進んだ養殖技術に至るまでの努力は大勢の誇りに思う次第であります。
さて、私事で恐縮ではありますが、私は平成24年6月28日に組合長に就任致しました。また、以前には昭和57年高田漁業協同組合の研究会長、昭和61年から福岡県有明海区研究連合会長としてノリ養殖新技術導入や経営基盤の安定等に取り組んでまいりました。その経験を活かしながら、生産者の意識改革は勿論のこと、漁協の経営基盤の充実、組合員の社会的地位の向上を図りたいと考えております。
ところで、今日のノリ漁家経営は消費流通の変化、食生活の変化等により消費量の減少など大変厳しいものとなってまいりました。しかし、全国一のノリ産地であることを自負し、まずは用途に合った海苔作り、秋芽・冷凍網ノリ1回摘みにあたっては、網一枚当り二百枚以内摘採を目標にノリの若芽ノリの早期摘採を心掛け、柔らかく、歯切れの良い美味しい海苔作りをいたします。
業務用については、集団管理体制によりノリに適度な干出を与える為、二次芽、三次芽の生長が良く、若芽が育ち、また、早め早めの摘採で網一枚当たり五百枚以内を目途に摘採し、品質が統一化するようにいたします。
そして、食品として衛生面でも安心安全な海苔作りを目指し、組合員一丸となって取り組みたいと考えております。
どうぞ皆様のご理解とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
令和4年10月
高田漁業協同組合
代表理事組合長 坂井 剛修